日本のアル・ゴアと僕が勝手に呼んでいる東大の山本良一先生の『温暖化地獄』を読みました。
「わたしたちはすでに”地球温暖化地獄の一丁目”に入り込んでしまっているのではないだろうか」という問題提起からはじまる本書は、目前に迫っている地球の危機とその対策について説得力ある文章で綴っています。
大変なことです。
僕が山本先生に最初にお会いしたのは、2,3年前のグリーン購入ネットワークのパーティの会場で、それから何度か先生の講演を聞いていて、つい先月も大阪で講演を聞く機会があったのですが、その間、アル・ゴアの『不都合な真実』が公開され、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が第4次レポートを発表し、異常気象も激烈になってきて、それにわせて、先生の講演の内容も非常に厳しいものとなってゆきました。
先月の大阪の講演では、今年の夏にも北極海の海氷が消滅する可能性がある、と指摘されました。
北極海の海氷が解けても海面水位は上昇しないからさして問題ではない、などという脳天気なことを言っている評論家センセーがいますが、こういう議論は本質を見ていません。
山本先生によると、北極海の海氷が解けると、温暖化が次々に加速されるそうです。
まず、海氷が無くなることによって太陽光が宇宙に反射されなくなり、地球内に吸収され温暖化が進む。
さらに、シベリアの凍土(ツンドラ)が解けて巨大な湖が出来て、氷に閉じこめられていた温室効果CO2の20倍というメタンガスが吹き出てくる。
また、グリーンランドの氷床が解けて、正真正銘海面水位が上がる。
このように「地獄の口」が次々に開いてゆく。まさに温暖化の暴走が始まるのです。
早ければ、2050年に海面水位が3~5メートル上昇するという予測も紹介されています。
水位が5メートルだと、東京、ニューヨーク、上海など、海岸沿いにある世界の大都市が水没する。
日本だと、23区の半分くらいは無くなるでしょう。
温暖化をくい止めるターゲットは、山本先生によれば産業革命以前に比べてプラス2度です。
プラス2度を越えると、地球に破局的な被害が生じることが予測されています。
それでは現在はといえば、産業革命以前に比べて0.8度上昇していますから、あと1.2度。そして、海水は蓄熱して緩やかに熱を放出するなど、「気候システムには熱慣性がある」ので、たとえ今CO2の空中放出をすべて止めても、不可避的に0.5度上昇するそうです。そうすると、2度まで0.7度の余裕しかない。ところが、人間の社会システムも、急に変えられないから、その慣性も0.5度程度と見積もると、残りはわずかに0.2度となります。
このように、山本先生の分析だと、人類が今後全力で温暖化対策に取り組んでも、産業革命以前にくらべて1.8度の上昇は避けられないのです。
もはや2度突破の直前まで我々は足を踏み入れている、という認識を持つべきだと山本先生は訴えています。
それではどうするのか?
いったん2度を越えたとしても、我々が全力を上げれば、また2度から下げることができる。温暖化に対して正面突破の全面戦争を戦うべきだ、と先生は主張します。
その戦争のターゲットは、2050年にCO2は移出量を80%削減すること。
しかし、先生によれば、対温暖化戦争に対する障害は日本経団連で、経団連が、CO2排出量の総枠規制に反対しているために日本政府は表だってそれを言えず、結局、欧米の動きから遅れてしまっているとのこと。
マスコミもスポンサーである大企業に遠慮して、日本の遅れを主張していないようです。
政治や企業を牛耳っている老人は、自分たちの年代は逃げ切りセーフを決め込んでいるのではないでしょうか。
そうであれば、僕たちは老人に任せておけません。僕たち自ら、あらゆる方法で温暖化と戦わなければならないと僕は思います。
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